認知症に特化したグループホームは、5人~9人の高齢者が、共に生活をする住居型の介護施設です。利用者は寝たきりや自分のことが全くできない人ではなく、介護職員やボランティアの人たちの介助があれば日常生活を過ごせる人が対象になります。そのため、医師や看護師を常駐させる必要がないので、グループホームは利用者にとって日常生活全般を見守ってくれる「家」とも言えるでしょう。

グループホームで働く職員の仕事は、高齢者の身の回りの世話をすることですが、全てに手を貸すのではなく、自分でできることは自分でしてもらうというスタンスの中で機能回復を図ります。これは、利用者が少人数だからこそできるケアといえます。日常生活を少人数で過ごすので、そのことを入居者本人とそのご家族にも説明しておくことが必要です。そうしなければ、思わぬトラブルを招くことにもなりかねないからです。

ところで、グループホームの特徴として、台所の設備が義務付けられている点が挙げられます。利用者は介護士が見守る中、台所を使用して調理することになるからです。利用者の中には調理が好きな人や残存能力を引き出され、自ら好んで調理に参加する人が多いので、それを活かして自立につなげようということでしょう。そのため、職員は利用者ができない部分だけを手伝い、安全な生活が送れるようにしなければなりません。多くのグループホームでは、箸を並べる人、食卓テーブルを拭く人、皿を並べる人など、それぞれの役割が何となく決まっており、個々がそれを実行し、共同生活を円滑に行っているようです。